セレブリティと毛皮問題 メアリ・マッカトニーの思い出。   

2012年 01月 12日
毛皮大好きなわたくし。

西半球いちの獣毛づかいとの噂も飛び交う昨今(ないない)

毛皮を見ると、思い出す、あの日のトラウマ・・・・


まあ、聞いてー、奥さんっ。

話、長いよー。






わたしは、約3年間、某百貨店のファーストブランドファッションの広告で、

パリ、ロンドン、ミラノ、LA・・・と有名ファッションフォトグラファーを

起用した、海外ロケのお仕事をしておりました。

その写真家の中で、何といってもダントツにかっこ良かったのは、

パリとロンドンのロケで、約2年間じっくりとつきあった、


イギリス人フォトグラファー、Mary McCartoneyです。

何度か彼女について触れたブログもありますが、

ほんと、


彼女こそ、わたしが実際会った中で、
正真正銘のセレブリティと呼べる女性でした。

メアリーは、ポール・マッカートニーの次女で、
現在ロンドンを拠点に、写真家として活躍する一方、
マッカートニー家を代表して、
動物愛護の啓蒙活動でも大忙しの人です。


でもパリではじめて会ったときは、おどろきました。

フォーブルサントノーレの瀟洒なホテルの前で

待ち合わせしたのですが、

待っても待っても、彼女は現れないのです。

確か、アシスタント2名を連れてくるって言ってたのですが、

それらしいところにいるのは、ヒッピー軍団のみ。

どないなってるんでしょうね?とパリのコーディネーターさんに

お電話してもらおうと思ったそのとき!


ひえええーっ、
そ、そ、そのヒッピーらしき軍団が、メアリー御一行さまなのでした。
マジ?



くたびれたTシャツにジーンズという小汚い格好。

すっぴん。

ビーサン。

髪の毛もただ、束ねただけでお洒落さとは無縁という感じ。

ところがお茶を飲みながらミーティングをはじめると、

彼女からただものじゃない、オーラがあふれ出て、

瞳の奥をのぞくと、底知れない知性と教養を感じたのでした。


メアリーはおそらく、
子供の頃から願ったことは何でもかなう・・という
最高に恵まれた環境で育った、究極のリッチ&フェイマスピーポー。


でも、
自分が特別な人と思われることをことのほか嫌がり、
普通の庶民の暮らしを心から楽しんでいるように見えました。

(うーん、それはあまりにもいままで注目されすぎて、お金持ちすぎたせい?)

服装だって、TOPSHOPの1枚6ポンドぐらいのペラペラのワンピースを着て、
足元はビーサンなんて、いうくだけた格好ばかり(ビーサン好きよね~)
とにかくブランドものを着てたのを見たことがありません。

アクセサリーだって、本物の宝石は小さなルビーのピアスだけ。

「これ、ママの形見なの。アンティークよ」
と自慢してましたっけ。

ママとはリンダ・マッカートニーのこと。

彼女も写真家で、ビートルズが活躍した時代、
ジミ・ヘンドリックス,ジャニス・ジョプリン,
サイモン&ガーファンクルなど、ありとあらゆる有名ミュージシャンたちを撮影した、

子供の頃からのセレブリティ。

メアリーはそんなママ、リンダから
「子供の頃ライカのカメラをもらったのを
きっかけに、写真家になったのよ」と教えてくれました。

そういえば、プロフィールにも
「ポールの娘ということだけは書かないで!」
とエージェントから厳しくお達しがあったのでした。

今日の茂木健一郎さんのTwitterにもあったけど、

生まれたときから有名人の子供として育った人は、

サクセスしても親の七光りなんて思われることを極端に嫌う傾向にあるようですね。

それとは逆に、

妹のステラ・マッカートニーは、デザイナーとして
もちろん、とっても実力のある人ですが、

パパ、ポールの名前をいい意味で利用したよね。

でも、
メアリーは
写真の評価は自分の実力だけで勝負したい!と願っていたのでした。



メアリーは、両親の影響もあり、ハードなベジタリアン。

撮影のときのケータリングはベジアリアンオンリーという、
肉食獣ラヴァーのわたくしにとっては
大変厳しいものでありました(ひーっ)

某イギリスのカントリーホテルでは、

ベジタリアンメニューは、通常メニュの2倍ってこともあり、

プロデューサーとして経費を極力抑える役目のわたしには、

アッタマ痛い問題でありました。

もう、レタスだけ出しとくか!(笑)と

思ったこともありましたともっ。


ま、それはさておき。


で、毛皮トラウマ問題とは、そんなメアリーとのロケで勃発。



秋、冬物の、パリでの撮影のときのこと。

商品は、毛皮満載!のアイテムが勢ぞろい。

で、撮影前日、メアリーやクライアントさんを交えての
モデルオーディションで、
モデルに撮影商品を着用してもらったところ・・・

メアリーのマネージャーが言いにくそうに、

「あのー、メアリーは、毛皮もの、撮影できないのよね~」

「はぁ、はあーっ?!」

クライアントさんもコーディネーターさんも
わたしもただただ、あんぐり口をあけるしかなかったわよ(きーっ)

「毛皮が撮影できないってどういうことざますか?」

と詰め寄ると、

メアリーは、動物愛護協会の会長を務めているので、
毛皮や革製品はNGとのこと。

えええええーー?!

そんなこと、聞いてないよっ。

第一この撮影商品、事前にデータ画像で送ってますやんかあああ?!

見てなかったのかい?


もはやモデルオーディションの会場は騒然!

クライアントさんも真っ青よ。

わたしなんて、もはや心臓一時停止状態っす。

そ、そ、そんなムタイな・・・。

撮影すべき商品は各ブランドさんから借りて、
点数もすべて決まっており、
また印刷物のレイアウトもほぼ決定済み。

それを、なんと撮影前日になって、どーゆーこと?!

あわわわわわーっ、
わたし、クライアントさんにどう説明すればいいのん?

絶体絶命の大ピーンチ!

このときの場の空気は、おそらくマイナス200度。



・・・と誰もが凍りつきそうになったそのとき。
メアリーがひっそりとした声で、
こう言った。

「あのね、毛皮のストールはやっぱり厳しいけど、
襟に毛皮があしらわれているジャケットはなんとか今回だけ撮ってみるわ」


ほーっ。

するとクライアントさんが、

「ストールは、小物撮影なので、
万一なくてもなんとかなります!」

と答えてくれたのよ~。

ああ、このクライアントさん、本当に最高にいい人でした。
いままで私が一緒に仕事した中でも、
とにかくダントツ!


こうして、なんとかおいらの首は繋がったわけでありますが。

あのときは生きた心地がしなかったね~。


いやあ、しかし、ファッショカメラマンとして仕事をしているというのに、
毛皮はNGなんて・・・。

でもなんとも憎めない素敵な女性でした。

ちなみにメアリーの写真サイトはこちら

彼女が撮影した作品、
妹のステラのファッションキャンペーンから、
ライフワークであるのロイヤルバレエのバックステージのモノクロショットなど、
いろいろご覧になれます。

PORTRAITSのところをクリックすると
キラ星のごとくセレブリティたちが登場しますよっ。


ジュード・ロウもいます(ぜぃぜぃ)
ファッション界のミューズ、ケイト・モスや、
ステラ、パパのポールもおりまっせ。


そんなわたしの宝物は、
メアリーから以前届いた、
ロイヤルメール。

メアリーがロケのあと、
激写してくれたなつかしいポートレートです。

場所はパリ郊外のバルビゾン。

ディレクターさん、コーディネーターさんと一緒に映ったものもあります。

彼女がこんな日本の、おいらのようなへなちょこプロデューサーのことを覚えていてくれて、
思い出の写真を送ってくれるなんて、なんていい人なの!

カードとエンベロープはスマイソンのオリジナルで、
カードにはMとだけ印刷されていました(かっこよかったわ~)

そこにはこんなメッセージが。

Ichiko-

Hope you like this photo.
I think it brings back good memories!

Mary



もう仕事も終わったのに、忘れずにきちんと写真とメッセージカードを
手書きで送ってくれるってところが
やっぱり、ロイヤルな女性です。

唯一残念だったのは、写真の中のわたしが
ロケで走り回っていたせいか、
難民キャンプに参加した怪しいアジア人という風貌だったってことであります。

by madamregina | 2012-01-12 11:18 | Diary