綺麗さび   

2013年 03月 04日
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買ったまま、読まずに置いていた和楽3月号「茶の湯」の特集。



今日はちょっとだけめくってみました。


茶の湯・・・・・・。



ずーっと若い頃は、少しは習っていたお茶ですが、

いまや遠い昔の世界のこと。

でも、パラパラ〜っとめくっておりましたら、


「自宅でオフィスで、気軽に、センスよく、

茶の湯をはじめてみよう」

・・・という「自服の茶」の項を見て、

思わず、これなら私も出来るかな?とうれしくなっちゃったんですよね。


もちろん、美しき茶室で、

様式美にのっとって、お茶を立てるというのも素敵だけど、

そんなにたいそうに考えなくても、

ちょっと原稿の合間に自分でお点前・・なんて、いいよね。

もちろん、美味しい和菓子と一緒に。


で、その中にね、茶の湯と出合って30年あまりという、

稲葉賀恵さんが登場されていました。

写真は緑溢れる、彼女の事務所で、

「オフィスで飲みたいときに盆で一服」

というご提案。



そのお道具が、友人のアートディレクター渡邊かをるさんからもらった丸盆、

仲里隆(私も大好き)の唐津茶碗、

表千家の茶人、数江瓢鮎子(かずえひょうねんし)の茶杓という、

さすのセンス溢れる、渋い組み合わせです。


でね、私がいちばん、心惹かれたのは、稲葉さんのこの言葉。


「60歳を過ぎた頃から数江先生に、

『これからは綺麗さびを勉強しなさい』

と言われたんです。以来、綺麗さびが大好き」




「綺麗さび」・・・・なんて雅びで素敵な言葉でしょう。


この言葉、聞いたことはあったけど、

若い頃はその意味などとうてい理解することもなく、

また、興味を持たずに通りすぎてきた世界。


でも、この歳になって(っていくつよ?)ようやく、

「綺麗さび」が心にぐさっと刺さりました。


みなさんもご存知かと思いますが、

綺麗さびは、江戸初期の大名茶人、小堀遠州によって作り上げられた、

幽玄、有心の茶道のこと。

遠州は、近江の国に生まれ、幼少期より父新介正次に英才教育を受けて

千利休の弟子、古田織部に茶道の習い、徳川将軍家の茶道指南役となった偉人です。


寛永文化サロンでは、中心人物となり、作事奉行として桂離宮、仙洞御所、二条城、

名古屋城などの建築・造園にも才能を発揮した、

いわば、江戸時代の天才的プロデューサーであり、

マルチアートディレクターのような人なんですよね。


日本のレオナルド・ダ・ビンチとも呼ばれています。



遠州の代表的庭園といえば、大徳寺孤篷庵、南禅寺金地院など。


この方、生涯に400回あまりの茶会を開いたそう。

大名・公家・旗本・町人などあらゆる階層に茶の湯の素晴らしさを伝え続け、

王朝文化の理念と茶道を融合させて、「綺麗さび」という概念を導き出したのです。


「綺麗さび」は、ようはね、

千利休の「わび、さび」の世界と違って、

もう少し、開放的に誰でもがわかりやすく、

おもてなしの精神を象徴した世界じゃないかと思うのです。

わび、さびまで到達するのは、なかなか精神的修行も含めて、大変だし(笑)


言い換えると、

そのおもてなしの中にさらなる思いやり、優しさがあるということじゃないかな?

と私は理解しています。

ま、間違ってたらごめんやす(笑)


この遠州さま、

蹲(つくばい)で、こら、綺麗な音がする

あの、水琴掘(すいきんくつ)を考え出した人なのです。

それだけでどんなに粋人だったか、わかるよね。

そんなわけで、久々に買った和楽から、

小堀遠州の世界へと誘われたのでした〜。


で、これ読んで見ようと思うの。

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ちなみに、3月1日発売の和楽4月号の特集は、

きゃーーーーーーっ!

みなさまもきっとお待ちかね。

伊藤若冲特集です。

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若冲に関しては、もう、難しことなんて抜き。

私は若冲の描く、虎や象さん、お猿さん、うさぎさん・・・

心が一瞬にして華やぐ、金色や、

こんな鮮やかな色の服が着たいなと思える、目も覚めるようなレッドや、

そして、繊細な鳥の羽なんかの描き方に文字とおり鳥肌〜(笑)


何より、そのお茶目な目線に惚れておるんですよ。


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いつも、思っているの。

若冲のこんな図柄でエルメスのスカーフが欲しいなぁって。


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ただいま、東北地方にて、
『「プライスコレクション江戸絵画美と生命ー若中が来てくれました』

開催中。

若冲コレクションの第一人者プライス夫妻が
(いつぞやテレビで観た、この方の海の見える家、凄かったね)

東日本大震災の復興を支援するため協力された、特別な展覧会。

収益はすべて被災された方々へ、もたらせるそう。

素晴らしね。

by madamregina | 2013-03-04 11:53 | Book